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第2回  松井紳介 
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(普通より一回り大きなリスの大群に全身をかじられ、のたうち回りながら)い・痛たたたたたたた!!!! し・自然の、自然の逆襲じゃ〜!!!!
・・・(ゆっくりと起き上がりながら)おお!そこにおったのか。失礼、失礼。文明に対する、手痛いしっぺ返しを受けていたところじゃ。

おっ、早速依頼が来ているようじゃの〜。

依頼
28歳の経営者です。一昨年、勤務していた某電機メーカーを飛び出し、それまで温めていたシステムの構想を具現化すべく、会社を立ち上げました。現在社員を12名まで増やし、開発以外の全ての業務を抱え東奔西走の毎日です。
さて、頭を悩ませているのは、私と他の社員との温度差です。ゆくゆくは世界的企業に・・・という私のヴィジョンが、他の社員と共有できているかというと疑問です。この事は、今後の事業展開を左右する重要課題だと認識しています。
マ・フィ〜アさん、私の熱い想いが、全スタッフに伝わる様な曲を教えて下さい!社内BGMにして、社全体を鼓舞したいと思っておりますので。


なるほどな。内容は理解したぞ!
(突然、デニム地のパンツに包まれたお尻から、鼓膜を破るほどデカい、フェラーリのエンジン音に酷似した爆音を放射させながら)
よ〜し、ズバリお答えしよう。リー・ペリー じゃ!彼のプロデュース作品じゃよ。

BURT WALTERS「Evol Yenoh」を選曲でマ・フィ〜ア!!
※ LEE PERRY 1936年ジャマイカ生まれ。50年代末、スタジオ・ワンのA&Rとしてキャリアをスタート。60年代からプロデュース業を始め、その中にはアイランド契約以前のボブ・マーリー&ウェイラーズ作品も含まれます。74〜79年、自身のスタジオ「ブラック・アーク」にて膨大な作品を制作。マルチ・トラックを解体し、何度も組み直して生み出される彼の音楽は、日本製の粗末な機材で作られていたにも関わらず、現在最もラジカルとされるポップ・ミュージックの発想や様式を完全に先取りしていました。今も移住先のスイスを拠点に活動中です。



これはそのアップセッター・レーベルから68年リリースされた、最初のシングルのB面の曲じゃよ。
A面は、R&Bのカヴァー曲「Honey Love」。この「Evol Yenoh」は、同一トラックの上にヴォーカル・トラックだけ逆回転にして被せたという代物なんじゃ。
キーや、譜割りというか、演奏にヴォーカルの乗るタイミングは合っているので、まるで別の惑星の言語で歌われているみたいに聴こえる。元の曲がオーセンティックな、どちらかといえば凡庸な出来のロックステディなだけに、聴いた事のない様な独特の音楽になっておるんじゃよ。

(街頭ティッシュ配りに至近距離から生卵をぶつける新スポーツをオリンピック協会に申請しながら)・・・思うに、膨大な彼の作品中でも、このカップリング・シングルくらい、端的に、鮮やかな手際で、彼の表現に一貫するエッセンスの様なものが示されておる物は他に無い。コンセプチュアル・アートの様じゃ。リー・ペリーは、彼が見ていた音楽家としての壮大な理念・ヴィジョンを、ここに込めたのではないじゃろうか?何せファースト・シングルじゃからな。全世界に向けての名刺代わりじゃ。

チンチンの先にマジックで目を描き、物が見られるか試してみながら)・・・曲中のピアノ間奏部分で、リズムのズレを矯正する為じゃろうか、「ギョイン!!」という頭出しのスクラッチ音が聴こえる。わしはこの「ギョイン!!」を聴く度、若き日のリー・ペリーが持っていた巨大な創造的エネルギーの一端に、一瞬だけ触れた気になる。勇気が湧いてくるのじゃ!!

お前も、お前の事務所で、これをかけるが良い!! 必ずや事業はうまくいくじゃろうて・・・。

選曲のご依頼は→マ・フィ〜ア・ポストまでお気軽に
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