映画評

映画評


ダークロHP 映画評 ページ12
1ページ アーティスト 愛の流刑地  アイ・ロボット  明日に向って撃て!  アダムス・ファミリー2  アッシャー家の末裔  あなたにも書ける恋愛小説  アフタースクール  アメリ  アリス  ある日、突然。  ある秘密  アンダーグラウンド  アンタッチャブル  いかレスラー  インセプション  ウォーターボーイズ  宇宙人ポール  姑獲鳥の夏  海辺のレストラン  AI   永遠と一日  映画は映画だ  英国王給仕人に乾杯!  英国王のスピーチ  エルミタージュ幻想  おいしい生活 
2ページ 大いなる休暇  オーシャンズ11  オースティン・パワーズ ゴールドメンバー  オー・ブラザー!  オープン・ユア・アイズ  おくりびと  オテサーネク 妄想の子供  男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎  おとなのけんか  俺はまだ本気出してないだけ  画家と庭師とカンパーニュ  過去のない男  勝手にしやがれ  カムイの剣  亀は意外と速く泳ぐ  カメラを持った男(これがロシアだ)  カラー・オブ・ライフ  ガンモ  キートンの大列車追跡(キートン将軍)  キートンの恋愛三代記  キサラギ 
3ページ キック・アス キッチン・ストーリー  ギャラクシー★クエスト   キューブ2  霧の中の風景  キング・オブ・コメディ  苦役列車  グッバイ、レーニン!  クラークス  クライング・ゲーム  CLUBファンタンゴ  グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版  クワイエットルームにようこそ  刑事ベラミー  ゲームの規則  幻影は市電に乗って旅をする  恋とニュースのつくり方  恋人たちの予感  ゴーストワールド  告白  ゴダールの決別  コックと泥棒、その妻と愛人  事の次第  魚が出てきた日  サスぺリア  サスぺリア PART2/紅い深淵  サヴァイヴィング ライフ ―夢は第二の人生―  サマータイムマシン・ブルース  ザ・ロイヤル・テネンバウムズ  サロメ 短縮版  三重スパイ  サンダーパンツ!  CQ  JSA 
4ページ 料理長殿、ご用心(シェフ殿、ご用心)  シカゴ  シナのルーレット  シャドウ・オブ・ヴァンパイア  ジュリエットからの手紙  少林サッカー  知らなすぎた男  人生はビギナーズ  図鑑に載ってない虫  スキャンダル  スクール・オブ・ロック  スコルピオンの恋まじない  スズメバチ  スター・ウォーズ エピソード2  スタン・ブラッケージ ハンドペイント作品集  スティング  ストレンジャー・ザン・パラダイス 
5ページ スナッチ  スパイ・ゾルゲ  スパイ・ゲーム  スパイダーマン  スラムドッグ・ミリオネア  スリ  スローガン  世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶  007ダイ・アナザー・デイ  008皇帝ミッション  洗濯機は俺にまかせろ  千と千尋の神隠し  千年女優  ソードフィッシュ  ダージリン急行  ダウン・バイ・ロー  旅芸人の記録  地下鉄のザジ  チャイニーズ・オデッセイ Part1「月光の恋」 Part2「永遠の恋」  超アブない激辛刑事カリー&ペッパー  チョコレート  血を吸う宇宙 
6ページ 月の輝く夜に  ディープ・ブルー  デリカテッセン  天国の口、終りの楽園  天才マックスの世界  天使突抜六丁目  東京ゴッドファーザーズ  東京物語  トータル・フィアーズ  Dr.パルナサスの鏡  ドグマ  友達の恋人  トリック大作戦  トリプルX  ドリヴン  トレインスポッティング  ナイト・オン・ザ・プラネット  ナッシュビル  夏物語  2046 
7ページ 25時  猫の恩返し  ニューイヤーズ・イブ  ノーカントリー  野良犬  PARTY7  バード★シット  バートン・フィンク  バーバー  パール・ハーバー  バーン・アフター・リーディング  ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式  バグダッドカフェ  白昼堂々  幕末太陽傳  はさみ hasami  8人の女たち  8 1/2  発狂する唇  バッド・ルーテナント  パプリカ  バベル 
8ページ パリ、テキサス ハリー・ポッターと賢者の石  パレルモシューティング  バンカー・パレス・ホテル  ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い  パンズ・ラビリンス  反則王  パンドラの箱  バンドワゴン  英雄〜HERO〜  ピストルオペラ  ビッグ・フィッシュ  百万円と苦虫女  ヒューゴの不思議な発明  ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け  ヴァイブレータ  ファウスト  ファントム・オブ・パラダイス  フィッシュストーリー  フィフス・エレメント  フォーゲルエート城  不思議の世界絵図 
9ページ ふたりの男とひとりの女  ブリスター!  ブルーベルベット  ブルジョワジーの密かな愉しみ  フル・モンティ  フレンチ・カンカン(復元長尺版)  ブロウ  ブロードウェイと銃弾  ボイス・オブ・ムーン  ボウリング・フォー・コロンバイン  僕らのミライへ逆回転  ホテルスプレンディッド  ボビー・フィッシャーを探して  ボラット  ホルテンさんのはじめての冒険  ポロック 2人だけのアトリエ  麻雀放浪記  MAD ABOUT MAMBO  迷子の警察音楽隊  マイライフ・アズ・ア・ドッグ  真夜中まで 
10ページ マリア・ブラウンの結婚  マルホランド・ドライブ  ミステリー・メン  ミッドナイト・ラン  ミツコ感覚  ミニミニ大作戦  ミラクル7号  メアリー&マックス  メトロポリス  メルシィ!人生  メン・イン・ブラック2  モンスターズ・インク  ヤーチャイカ  約三十の嘘 
11ページ 焼け石に水  ヤマカシ  ヤンヤン 夏の想い出  LIFE!/ライフ  ライフ・イズ・ビューティフル  ラウンド・ミッドナイト  ラスベガスをやっつけろ  ラットレース  ラルジャン  ラ・ワン  ラン・ローラ・ラン リトル・ダンサー  リミッツ・オブ・コントロール  ルナシー  レイジング・ブル  レクイエム・フォー・ドリーム  レニングラードカウボーイズ・ゴーアメリカ  ロード・オブ・ザ・リング 
12ページ ロスト・チルドレン  私の好きなモノ全て  私の夜はあなたの昼より美しい
  >>ダークロHP(小市民ダークロのありがちで気の抜けた感じのやつ) TOP 
ロスト・チルドレン
1995年/フランス/112分 監督・脚本:ジャン=ピエール・ジュネ/マルク・キャロ 脚本:ジル・アドリアン 撮影:ダリウス・コンジ 出演:ロン・パールマン/ジュディット・ヴィッテ/ドミニク・ピノン/ジャン=クロード・ドレフュス/ダニエル・エミルフォルク/ジョゼフ・ルシアン
画面の熱狂的空間に我を忘れる。ドミニク・ピノンは一人いればそれだけで強烈なのに、この映画では6人もいる。これは、強烈だ。あの顔がこれだけいると、それだけで異常な空間になる。本当に6人いるように見える。計算しつくされた撮影だ。カメラが登場人物の一人であるかのようだ。撮影の緊張感とリズムが心地よい。ライティングやフレームの切りとり方が斬新だ。成熟したカメラに未成熟が写っている。あの、バタフライ効果を表現しているかのような、一滴の涙からタンカーの衝突へとつながるカオスな相関関係のたたみかけは非常に興奮した。ここまで見事にドミノ倒しのように物事をきちんとテンポよく描ける才能はすごい。見たことのない世界観だ。アニメ映画のようにも見えて、実写だ。さまざまな場面場面に力と資金を投入している。ここまで異質な世界を描くことのできる才能がすごい。マッドサイエンティストが作り出した、城の中の閉じられた空間。他の場面もスタジオ撮影なので、どこか閉じこめられた印象を持つ空間だ。生き物がリアルにうごめく不思議な世界。分かりやすい形ではなく、隅々まで毒されて汚らしい世界。未来のように見えて、過去のようにも見える。成長が止まった未来の世界だ。巨体のワン、双子の姉妹、ドミニク・ピノン演じる6人のクローン人間、ダニエル・エミルフォルク、水槽の中の脳みそ。主な登場人物の造形は異常な人ばかりである。ミエット役のジュディット・ヴィッテのかわいらしさが救いであり、魅力だ。彼女だけ浮きあがって見える。子供の素朴な表情が、撮影に力を入れることで、大人の女性のように見える。少女が不思議な力強さを持っている。語り方や物腰が、完全に大人だ。面白い表現だ。物語の設定上、実際はもっと年を取っているのかもしれない。ひょっとすると、ミエットや仲間の子供たちは、永遠に子供なのかもしれない。大人に成長することのできない身体になっているのかもしれない。大人の体を持ち、心が子供。子供の体を持ち、心が大人。大人と子供の対比。成熟と未成熟の対比。全てに違和感と緊張がある。冒頭のサンタクロースのシーン。蚤のアップの精密なシーン。カプセルに閉じこめられていた夢が子供たちに悪夢を見せる一連のシーン。一つ目族が集結しているシーン。異様な世界に緊張がみなぎっている。最初から最後まで不安である。結局のところ、最後まで不安なのである。安堵できないのである。物語としては終わっている。しかし最後に敵を倒したわけではなくて、自分たちのオリジナルが自滅しただけのことである。故郷を追われた状態だ。だからハッピーエンドではない。安心することなどできない。一つ目族、もしくはそれ以上の大きな暗黒をこの世界の背後に感じる。どこにも語られることはなかったが、映画の世界の中で、本当に倒すべき敵がいるような気がする。その敵は私たちの世界にも同じようにいるのではないかという、なにかの地続きになった不安が映画を越えて浸透している。その後の彼らはどうなったのだろうか。最後はなぜか心細い。夢を見ないと老化が進む。登場人物と同じように、世界全体も老化している。成熟する前に老化した未来。私たちも夢を見ずにどこか老化していないだろうか。私たちの世界も、老化しつつあるのではないか。日本の高齢化社会にも似た、未来のなさをこの映画に感じる。子供が誘拐されてしまったかのような少子化社会。誰のせいなのか。なにが悪いのか。この映画には、心から満足している登場人物は一人もいない。どこかでなにかが間違っている。しかしその謎を解明することはできない。この現状を打開するブレイクスルーはなんだろうか。夢を見ること。想像力を駆使すること。そして、人に対して温かみを持つこと。このあたりにあるのではなかろうか。
楽天レンタルで借りる
私の好きなモノ全て
1992年/スロバキア/99分 監督:マルティン・シュリーク 出演:ユライ・ヌゥオタ/ジナ・ベルマン
マルティン・シュリークという監督が作ったスロヴァキア映画。一方向に限定させない演技が、見ていて楽しかった。普通の人間を見ているような、複雑な感情表現を感じた。映像もきれい。最後の、石をポチャンと投げるシーンが印象的だった。親子関係の描き方が自然でよかった。主人公の動きに切れがあって、見ていて気持ちよかった。登場人物が複数出てきて、関係性を強く持たせている。主人公を取り巻く社会をきちんと描いた部分がすばらしい。主人公は定職に就かずフラフラとしている。新たな世界がたくさん開けているかに見える。最終的に選んだ世界は、果たして新たな世界だったのであろうか。最終的には親としての役割を果たすため、自分の子供と共に生活していくことを選択したように思う。たぶん両親との外での昼食が全部おじゃんになってしまった場面に描かれているように、あのままだと彼の家庭は完全に崩壊してしまっただろう。彼が残ることで、彼が食事するだけで、たぶんいい方向に変わっていくのではないかとも感じられる。それぞれの人間的な魅力が現われたシーンがあの昼食会だったのだろう。あまりにはっきりと自分達の問題が現われたために、主人公は笑うしかなかったのではなかろうか。海外に行くことも新たな世界に出会うことになるかもしれないが、彼は選ばなかった。実生活に根ざしているだけで常に新たな世界の始まりがあるように感じられた。断食の終了も、新たな世界への出発点でもあるのだろう。EUのおかげで国同士の交流も盛んになっている背景が、この映画に確実に存在している。「私の好きなモノすべて」は、きれいな風景と素朴でやわらかい人間関係なのだろう。この主人公の選んだ方向性は、ヨーロッパの中心で生きていく方向性でもあるのかもしれない。
 
私の夜はあなたの昼より美しい
1989年/フランス/110分 監督:アンジェイ・ズラウスキー 出演:ソフィー・マルソー/ジャック・デュトロン/ヴァレリー・ラグランジュ
ホテルの一室を借り切って楽しんでる感じが良かった。その楽しみは、苦々しさを放っているのだが。韻を踏む言葉の羅列が、フランス語なので私にはつらかった。印象に残ったもの。幼少期のトラウマ(父の家庭内暴力・目の前で親を殺された)、ホテルの怪しいボーイ、客のプライベートを暴くショウ、モニターがいくつか置かれた部屋、CTスキャンの脳みそ、ボーイとベランダのソファに寝そべるシーン、ベッドにねっころがったマルソーの絵的に笑える胸。言葉や演技、動きが断片的だ。つぶやきを一つ一つ聞き取っていく作業が必要になる映画だ。物語が退屈なので、イライラしやすい。ソフィー・マルソーがきれいだった。
 
1page 2page 3page 4page 5page 6page 7page 8page 9page 10page 11page 12page   上へ ▲