瞑想2008 ダークロHP
2008.10(1)

(9月は写真をほとんど撮らなかった)
夏の終わりに、それが聞こえてきた。ミーン、ミーン。ベランダからセミの声。どうやら近くで鳴いているらしい。非常に響く。昼寝を邪魔され、ベランダまで出てみる。とたんにセミが鳴きやむ。逃げたのか。また布団に横になる。ミーン、ミーン。また聞こえてくる。いつまでも鳴きやまない。ミーン、ミーン。もう一度ベランダに出る。セミが鳴きやむ。手すりを見る、壁を見る、窓を見る。セミが好みそうな美味しい樹液は、どこからも流れでてはいなかった。向こうのほうでは、まだ何匹か、鳴き続けている。ベランダの隅の「ひんやりスペース」に、ネコが丸くなっている。「おい。どうしたんだ」というような不思議そうな顔つきで私の顔を見ている。その日から毎日、ベランダでセミが鳴き続けた。ミーン、ミーン。夜に聞こえるセミの声は、どこか悲しい響きだ。もう夏が終わる。仲間たちは全滅していく。それでも毎日のようにベランダのセミは鳴き続けた。存在の証明理由なのか。なぜ鳴くのだろうか。9月の終わりの週末、雲一つない快晴。秋晴れと呼ぶべきだろう。ミーン、ミーン。いつものように昼まで寝ていると、また聞こえてきた。不思議だ。ひょっとして幻聴ではないだろうか。ベランダを開けると、猫しかいなかった。腹をすかせているのか、誰かを呼んでいるのか、ネコが鳴いている。ミーン、ミーン。セミの声で鳴くネコ。「やあ、君だったのか」ミーン、ミーン。「夏も終わるよね」ミーン、ミーン。しばらくして、夏が終わり、ネコの姿も見えなくなった。私の部屋のベランダは、夏の間だけ居心地のいい場所だったのだろうか。あのネコは、ひょっとして、セミだったのではなかろうか。ひょっとして私自身も。ミーン、ミーン。夏の昼下がりのセミの声にも似た、小賢しき駄文、思想、主張。私たちの夏は、まだ続いている。

帰宅前、心がグズグズすると、会社の近くにあるイタリアンレストランに入る。いつも一人で入る。ファミレスみたいなものだが、どことなく個性がある。ハーブを売りにしていて、水さえも、ミントが入っている。頼むメニューは、いつも一緒。パリパリに焼いたローズマリーをのせたソーセージの盛り合わせ、ベーコンとパン粉で焼いたあつあつの牡蠣、オリーブオイルたっぷりのバジルとトマトのピザ。そしてハートランドのジョッキ。客はほとんどいない。照明が暗く、落ち着く。ソーセージをピザで巻いてハートランドで流しこむ。最高。そしてけだるいピアノがいつも流れる。ジャズかな。ボサノバ?私は生きなければならない。とにかく、ここは勇気づけられる。

「ひょっとして、要領が悪いのかな、僕」「それが、おまえの生きがいなんだろ?」「そうかな」「要領の悪いことを楽しんで生きている。それこそが自己同一性、いうならばアイデンティティだ。要領が悪い部分を遊ばせて、コントロールできるくらいに揺れ動きながら乗りこえる。自分を笑える感覚がありつつも、どこか覚めている」「そうそう、こいつは、自分の不満をダイレクトに言いあらわしたりしない」「ああ、そうかも、あんまり表だって不満を吐かないよな」「え?肥満?」「不満」「ああ、最近腹がでてるんで、気にしてるんだ」「ちげえよ、不満だよ。どこかに不満があるとは思うんだけど、それを回りくどく遠回りさせながら表現している。その回りくどい頭の中の段階を経たプロセスが、後ろで見ていて面白い」「え?面白いだけか?」「おまえは自分の要領のなさを楽しんで、おれたちはそれを見て笑う」「そう、おまえとおれたちとは、いわば共犯関係にある」「僕は、犯罪者なんだ」「そう、要領の悪い犯罪者!」

今日も寝られない。たまに、脳みその電源を切ってしまいたくなる。悲しいことがあったとして、また生きていくために、どうすればいいのだろう。望みはついえた。絶望って、かっこいいけど、ちょっと自己満足な気がする。この望みは、私自身の物でしかない。他人の望みではないのだ。価値観の相違。さまざまな意見が頭の中を交差していく。さまざまな価値観が。さまざまな考えが。さまざまな自己嫌悪が。眠れない夜だ。そして、私は起き上がる。結論を出すのはやめよう。どこまで信じればいいのか。なにを望めばいいのか。まずは世界を見定めよう。世界はどこにあるのだろう。自分以外の視点で。主観から離れて。客観的な真理を求めて。それでも私の中へ。だからこそ私の中へ。
この経済衰退の激動の時代に

知らない間に首相が交代していた。もはや彼がどんな名前だったかも思い出せない。この経済衰退の激動の時代に、日なたで茶をすする老人のように「なにもしない」という姿勢を終始一貫して見せ続けたアンチヒーローとして、すばらしい印象を残した。目的がよくわからなかった政策ストライキ。ある意味イリュージョン。彼の頭上でどんよりとした空が広がっていた。今朝の日差しは強いが、気温は涼しい。薄めのコーヒーを飲んだら目が覚めてきた。信号待ちで人々が群れる。美しき共同体。世界中の神話。スイスでは大型ハドロン衝突型加速器(LHC)がいよいよ動きはじめる。光速の99.99%の速さで粒子が進み、衝突。ヒッグス粒子が出てくるかも。質量獲得についての仮説が証明されるのか、否か。いよいよ陽子崩壊。


今朝は会社の朝礼でスピーチが回ってきた。「アメリカでは、つぶれるはずのない会社までつぶれた。日本でも我々の回りは非常に流動的であやふやだ。この会社自体も、同じようなことをしていてこの先何十年も続いていくかといえば、はなはだ疑問だ。私たちの部署はそんな情勢でもいい業績を残しているので魅力的だ。今後ともがんばっていきましょう」という内容。自分の部署の20人くらいの前で声を張りあげた。朝なので固い話はやめた。昼休みに本屋で村上春樹の「世界の終わりと〜」を読む。若々しい現状認識と、たんたんとした即物描写。ゆったりと広がる大きな世界の休日感覚。


充分な睡眠と二杯の緑茶が引きだす。さまざまな空想を。降りしきるライトでぼやける雨の中を電車が人を乗せて走る。歪んだ空気。くしゃみに似た車輪のきしみ。大崎駅では、普段は、8時45分に着いて、9時3分に発車する始発に乗りかえて、発車前の電車に座ってくつろぐ。その時、自販機で110円のオロナミンCを飲むのが私の贅沢なひととき。たまにしか飲まない。今日は飲んだ。大崎駅の近くでビル建設中。その前に別のビルが建っていたので、建て壊した瓦礫がまだ残っていて、建てつつ、かたづけている状態。完成寸前でまた建て壊して同じ作業を繰り返したらおもしろい。アートだ。満員電車の中で、吊り革に手をかけたが、ふとその持つべきプラスチック部分に目をやり、汚れがとても目立つことに気づき、あわてて手を離した。真っ白な吊り革を灰色にする優しい菌たちよ、君たちは電車の中で無銭乗車する気だね、傘などのお忘れのないよう、ご注意ください。

雨予報だったが、青空が広がる。素晴らしい上天気。9時に起きて外出。石井さんと待ち合わせしてるので山手通りと目白通りの交差点に向かう。20分ほど歩き、着いた場所は、たいした店もない、殺風景な、この世の果てのような場所。予定があって早く起きれてよかった。涼しくて気分がいい。石井さんと12時までモスバーガー。体調不良で会社を辞めた石井さんは、娘のダンス教室の送り迎えで土曜の朝は目白にくるそうだ。奥さんが看護婦さんなので、小学一年生の娘にご飯を作ってやり、家事をしているらしい。海外旅行には今年は6回行ったらしい。マンションの家賃で暮らせるらしく、ふだんは新しい物件を探しているらしい。もうサラリーマンは、やらないんだろうな。石井さん、朝をありがとう。途中、咳こんでいたのが心配だった。18時に寝て、21時半に起きる。なにもしないで一日が終わった。3時に外に出て、デニーズ。オムライスとコーラ。


4時に寝て7時に起きる。都立家政まで外出。途中、歩きながらコンビニのおにぎりをたべ、渋谷園芸でローズマリーとシルバータイムとレモンバームを買う。お店は、今まで見た中で最高の品ぞろい。たくさんの植木を楽しめる庭もあって(写真の1016から1046まで)、楽しかった。しかし、30分以上歩くので遠い。デイリーストアを左にまがって着く。次来る時はまちがえないように。帰りにデニーズでスパゲティー。18時に寝る。

3時にだるくなり37度の熱がでたので横になるが、6時まで意識があり、思いついた文章をノートに書きつけていた。もっとしっかり書かないとダメだ。ずっとイメージしていよう。仕事の休みが3日続けばイメージが加速することに気づく。朝に寝て13時に起きる。今日で休みは3日目。いいなあ。赤いきつねをたべ、緑茶を飲んで落ち着く。約束してあったので16時に外出。一階のバレエ教室では大音量でクラシック。この音量で踊るのは、楽しいかもしれない。つまらなそうに犬を散歩させるおばさんたちと何人もすれちがう。みんな小型犬。電車に乗って、関内へ。金子の案内で中華の店へ。 中華街ではなく、オフィス街にある中華料理屋を求めてうろつく。どうしても見つからない。腹が減った。現実の町並み、地図上の町並み、空想の町並み、願望の町並み、記憶の町並みを右へ左へ。一歩一歩、歩くごとに価値が上がっていく。携帯のGPS機能の助けを借りて、ようやくたどりつく。ビールを頼むとすぐに出てきて、しかもジョッキが冷えている。さらにビールを頼むと、すぐに冷えたジョッキが出てくる。この店はそれの繰り返し。それがうれしい。居酒屋チェーンのような冷凍食品ではなく独特の味つけをされた温かい料理が並ぶ。黒酢のタレをかけた豚の角煮が旨かった。人間にも、豪快な味わいの手作りの料理(発想)を出してくる人と、レトルトの人がいるな。答え合わせよりも、禅問答の方が好きだ。永遠に答えの見つからない平行線を描きつづけたい。常に平行線。私の相手をしている人間は、落ち着かないだろうけど。 食事中、KHGの彼女がヒステリーを起こし、何度も電話とメール攻撃。KHGはその都度、下痢の人のように席を立っていた。人間関係の消化不良。いい薬があるといいけれど。お酒4杯、腹一杯食べて2250円。安くてうまかった。その後、馬車道のタリーズのオープンテラスでのんびりと会話。KHGは今から(22時)彼女のいる座間まで車で行くらしい。帰りに新宿の高島屋でチャウシンチーのDVD買う。まあ、私にとっては理想的な休日だったのではないか。

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