瞑想2008 ダークロHP
2008.05(2)

コピーロボットを会社に行かせたら

今日はだるかったので、コピーロボットを会社に行かせたら、帰ってきて、記憶を渡してくれると言う。「いらないよ。明日も頼んだぞ」と言ったら、悲観したロボットはベランダから飛び降りて死んでしまった。

外が暗い。雨粒がパラパラと落ちているようだが、この程度なら晴れと呼んでもよさそうなものだろう。電車の中では、生きているのか死んでいるのかよくわからないような愚鈍そうなサラリーマンをよく見かけるが、こういうのと仕事するのは大変そうだ。生活や性格が固まってしまって、それが年月を経て腐っていく時にあふれ出す臭気。そんなことより頭脳回転。世界はすぐそこ。


初めて行く人のために地図を用意すればいい。ネットの導線も同じこと。分類、位置の把握。ただの矢印ばかりでは迷子になる。全ての表現は大きな矢印だ。

ポアロ物の短編集「死人の鏡」を読む。厩舎街の殺人、設定がおもしろい。女性二人の生活から訪れる事件。謎の盗難事件、殺人がないポアロの話。これはすぐに犯人がわかった。確認作業のような気持ちで読みとおす。登場人物の利害関係がよく書けている。死人の鏡、被害者のキャラクターがよく書けている。モデルがいたのではないか。トリックはつまらない。読みとおすのがつらかった。砂にかかれた三角形、悲観主義的な短編。推理パズルというより、手堅くまとめたエッセイ。浜辺でパメラと話しているシーンが印象的。年寄りと、世間を知ったような気でいる小娘の対比がよく書けている。短いページに二重構造の物語が動く。再読の価値あり。これ以上に現実は込みいっているはず。「自惚れというやつですよ!犯罪者は自分の犯す犯罪は、絶対に失敗しないと思いこんでるものですからね」と、ポアロが言う。犯罪者だけではなく、自惚れは、いけない。失敗の元だ。

2年ぶりに、ある友人と会う。「久しぶりに会うな。かなり遠い存在になっちまったな。おまえ、おれという名の太陽系の冥王星だな」「冥王星か。かなり遠いな。もう惑星として認められなくなったし」そうか、私は冥王星なのか。その友人も、太陽というよりトリトンみたいな感じ。2人して太陽系の片隅で、軌道を回ったり回らなかったり。あ、そう。金持ちは金星人なのかもしれませんね。話題は共通の友人の近況へ移る。ずいぶんと辛辣だ。その後の会話は、流星のように華麗に聞きながす。人はみな、時空に守られて、自分を地球だと思って暮らしているのかもしれない。太陽系第3惑星、自分。全ての発想は、全ての他人は、地球の引力から逃れることはできない。冥王星には引力が少ないので、発想も他人も自分も、ふわふわしている。このまえ、唯一、私の回りを回っていた衛星も、宇宙に消えていった。たまには遊びにおいでよ。ちょっとは重力があるから、過ごしづらいかもしれないけど。どこかしらで、遭遇できるといいですね。まあいいや、私もしばらくは回っておこう。やがては、みんな、時という名前のブラックホールにすいこまれていくっす。

気をつけろ。あっという間に時間が過ぎていく。サラリーマンに囲まれて。瞬発力。持続力。急がば回れ。世界は回る。ビシッ。22時30分まで仕事して帰宅。途中で新宿をウロウロ。深夜バスをまつ集団、道で寝る人、欧米人、酔っ払いの集団、ダンスを練習してる集団。どれも集団である。夜の街に翻弄されて、個人個人で見るとひどく頼りない。サラリーマンは自分の小屋へ帰っていく。豪華な小屋。粗末な小屋。いい餌にありつけるといいね。はっちゃけてー、バイブス上げてー、自然に感謝。

9時半に寝て、3時に起きる。雨が降っていたようで、曇り。アップルミントにたっぷり水をやる。ローズマリーがたてに密集して葉が枯れているところがあるので、ちょっと分散させようといじってたら、独特の香りが手についた。たしかに紛れもないハーブの強烈な香り。いい香り。「鉢植えを日に当てる」という最近の一番の楽しみが曇っているせいでなくなる。メロン風味の緑茶を飲み。ゆで卵を2つ食べる。卵を取り出すとき、1個落として割ってしまった。黄身が半熟になっててとてもうまいのでもう1個食べる。布団を干して7時に外出。少し晴れてきた。電車の中は、7人掛けの椅子に3人ほど。けっこう乗っている。日曜の朝の新宿は、驚くほど汚い。8時に会社に到着。会社に来ただけで疲れた。溜まっている仕事をかたづける。2時間働く。頭が回らなかったが、明日楽できるのでよかった。帰りにジョナサンでステーキを食べてから新宿御苑に寄る(写真は0530〜0568)。新宿とは思えない豊かな緑。薔薇が満開。たくさんの品種があって豊かな香り。11時から12時半までいる。太陽が輝く真夏日になった。ジャンバーと長袖を脱いで荷物が重い。セブンイレブンでコーラとカップ麺買って帰宅。疲れた。ベランダの鉢をいじってから、21時に寝る。

スタンドアローン。自分で乗り切るためのなにかを確立しないと、いつまでもダメなままだ。でも何がある?この乏しい才能と細腕で何ができる?そもそも、何がやりたい?やりたいことはある程度やった。でも、まだ何ができる?外はたくさんの雨。情報量が爆発してすごい勢い。疾風が雨を吹き飛ばす。さまざまな加速作業。広がりを持った横展開。外は嵐。流通の増大。トラフィックの加速的な増大。仕事をしている最中に、バニシングポイントへ、流通がどこまでも加速していくのを感じた。川の流れ。この勢いは、ベンチャー企業ならではのダイナミズム。動きを感じる。踊っているようなものだ。10時間以上も踊っているので、すごく疲れるけど。すごいことをしているのだ。しているはずだ。自信を持とう。自信を持て。帰りも雨。0時半に帰宅。3時まで寝ないでウダウダ。世界は動いている。

日本のサラリーマンは、国籍を日本以外にも持っている。その国の名は、電車王国。人身事故のため、お客様混雑のため、車内に急病人が発生したため、強風のため、車内点検のため、線路内に人が立ち入ったため、線路内に物が投げこまれたため、落雷による停電のため、駅構内で火災が発生したため、ホーム内で非常ボタンが押されたので安全確認をしていたため、お客様の荷物がドアに挟まったため、電車は毎日のように遅れている。そんなこと、理由になるのか。ちゃんと電車を走らせろ。祖国よ、遅延するな。乗客に対して一方的な命令口調のアナウンス。電車王国の絶対王政。国民は狭い場所で一生束縛されている。でも。私の遅刻の理由も、同じくらい、無限に思いつくんだけど。「電車遅延」というみんながよく使う遅刻の理由も、もっともらしいものだ。電車と私たちは、「もちつもたれつ」の関係だろうか。

友人の誘いで琴の演奏会へ。琴の感触。どこまでも続く鏡のような水平線があって、そこに水滴のような音の粒が落ちてきて、波紋が広がる。大きな波紋。かすかな波紋。さざなみができたり、波になったり。空間的。音なのに、静寂。音の波紋が個人の内面にある水面に広がる。どこまでも広がっていって、余韻が何枚も何枚も重なっていき、どの瞬間を切りとっても薔薇のようなきめ細かさ、美しさ、気品が感じられる。

朝、雨の中、新宿が臭い。清掃車の生ゴミの匂い、パチンコ屋の前でのタバコの匂い、トラックが発車する瞬間の排気ガス、駅前の喫煙スペースのタバコの匂い、駅の人の匂い。こんな場所で長く生きれば、肺が悪くなりそうだ。新宿駅に着き、ホームの先頭へ。そこにはあまり乗客はいない。隣のホームで電車が停まる。驚くような数の乗客が降りていく。彼らと私の間には線路があり、雨が羽毛のように降りしきる。風に流された羽毛が体にまとわりつく。雨も、臭い。向こうにそびえるビルを眺める。冷たいなあ。こういう時、都会のビルはひどく冷たい。

朝起きて、どうしようか、しばらく考える。どこにも行きたい場所はない。腹も減っていない。一番いい休日の過ごしかたは、ラーメン屋に入ってお腹いっぱいに食べて(できればつけ麺の大盛が望ましい)、家に帰って寝ること。しかし現状は、眠りにうえているわけではない。なにもしたくない。休日という状態の通常の人間は、好きな音楽を聞き、好きな本を読み、好きな人と笑い、好きなテレビを見て、好きな映画を見る。全ての可能性を検討した。全ての可能性において、なんらかしらの対象物に向かいあう必要があった。向かいあうためには、多少は好奇心などを発する必要があった。感受性とか、本能とか。向かいあう気力がなかった。気分が崩れていた。たぶん疲れているのだ。たぶんそうだ。きっとそうだ。だから考えるのもやめた。夕方までじっとしていた。緑茶を浴びるほど飲んだ。「緑茶が好き」と思いながら。狭山茶だった。「おもてなしよう」と書かれていたから、上質なお茶なのだろう。かなりのおもてなしようだった。
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