瞑想2008 ダークロHP
〜2008(2)

廊下を歩く。

廊下を歩く。すばらしい空調に整備された環境。本当に私はここで働いているのだろうか。歩いていてもまるで現実味がない。 たぶん、夢の中にいるのだ。 廊下を抜けて、自販機で立ち止まる。同じ部署の人が通りかかる。 「なに買うんですか」 「なに買おうかな。どれがおいしいの?」 「これがいいですよ」 「じゃあ、これ。半分こする?」 「いえ、結構です」 二人で部署に戻る。 「夕焼けがきれいですよ。ほら」 見渡す限りの大都会。どこまでも遠くが見える。うすく、紫の空に、オレンジ色の光が混ざってビルを照らしている。 美しい夢の中にいるのかもしれない。


広告代理店を1人でやっている知り合いとメシ。元気そうに見えたが、いろいろ大変なことが起こってボロボロだそうだ。1時間半の間に11回も電話がかかってきてた。落ち着いて自信たっぷりに話している営業トークが参考になった。でも私が自信たっぷりになることなんか死ぬまでないだろうな。話の途中で、この人から9万円くらいもらいそこねていることに気づいた。「まあ、次に仕事を任せるにしても、以前のような不義理をやってしまっているわけだし。。。」「え?私はきちんと毎日仕事をしていましたよ」「いや、君がやっていたのはわかるけど、おれの方が振込みが立ち消えになってしまって、おれの責任なわけじゃん」「ああ、そうか。そういえばそんなことありましたよね。私は怒るべきなんでしょうかね?」「そうかもしれないね」いつも楽な仕事を融通してくれるので、特にその程度の金額では別にたいしたことではなかった。とりあえず仕事の付き合いも継続することを確認。でも具体的に仕事の話をする前にさすがに忙しかったのか、途中で切り上げられて帰ってしまった。何のために会ったのかよく分からなくなったが、人生そのものも意味のないものだから気にしないでおこう。帰り道、酔いが足らなかったので、自販機で缶ビールを買った。そうしたら酔いが回りすぎて迷子になってしまった。見たことのない道を酔っ払いながら歩くのは新鮮で気持ちよかった。もうそんなに外も寒くない。やわらかい夜。静かな風になれ。いつのまにか春なのだ。


先輩の送別会。また会社を辞めちゃう人がいる。 焼肉をたらふく食べた後、コージーコーナーでケーキを食べた。地下鉄の改札口までお見送り。「このパスカード、使えるかな?」 「試してみなよ」 改札で試してみたところ、見事クリア。 「人生もそんな感じだといいね」 と私が言って、バイバイ。

美しい、理想の国があるとして、その国の話を聞く時、人は自分の国にいる。理想の国にいながら、そこが理想の国だと認識できる人は少ない。理想の国を語る時、その場では自分の国と比較している。理想の国を語る時は、自分の国を語ることにもなる。主体性、客観性。夢物語などそんなものだ。

モノトーンな日常に彩度を与えて、鮮やかに浮かびあがらせよう。

延々と地下まで下りて、延々と満員電車に乗って、延々と地上まで上がり、延々と満員電車に乗って、過ぎ去っていく時、人、場所、時、場所、人。カルシウムが豊富、鉄分が豊富、ビタミンが豊富。小銭を握りしめながら満面の笑みで。

バービカン。タカラ製。ノンアルコールビール。今日、帰ったら家でビールでも飲もうかと落合駅のホームを歩いていると、向こうから酔っ払いがフラフラと歩いてきて、ホームから落っこちた。「大丈夫じゃねえよな」と思いながら「大丈夫ですか〜」と聞いたが返事がない。声かけてる場合じゃねえなと思って駅員を呼んだ。その酔っ払いはわりと大丈夫だったみたいで、駅員の介助でフラフラと立ち上がった。ギャラリーも増えてきたしその場から逃げてきた。教訓「飲みすぎはよくない」だから買ってきた。確かにビールのような味がする。でも、気分だけだ。麦茶サイダーみたいだった。線路に落ちた直後のあの人にこれを飲ませたらどういう行動をとったかな。礼を言われて喜んで飲んでたかな。

●最近はアガサ・クリスティをよく読んでいる。ポアロのシリーズは高校時代に全部読んだので、ミス・マープルのシリーズをよく読んでいる。高校時代は「トリックよりも人間の嫌な部分が細かく描かれているな」とミス・マープルのシリーズを毛嫌いしていたのだが、この2ヶ月で7冊読んだ。理由は、なんとなくリアルに感じられるからだ。ミス・マープルのシリーズで殺されるのはだいたいが嫌なやつで、事件を捜査しているうちに殺された人間に対しての悪口が作中で際限なくまくしたてられる。作品が蔭口&悪口で構成されている。でも、実人生も、そんなものかもしれない。
●今日は同僚のおっさんと、1月いっぱいで辞めた人と3人でのんだ。西荻窪には焼き鳥屋やバーが立ち並ぶ異質のゾーンがあって、なんだか未来がない客たち&店員たちがいて、吹き溜まり&行き止まりに来ているような閉塞感を覚えるが、なんだか安心した気分にもなる。会話は自然に会社の悪口へ移行。さすが辞めただけあって、いろいろ出てくる。会社の悪口自体は害もなく、問題ないのだが、おっさんと私がすばらしいと思っていた人を、彼はすごく馬鹿にしていたのが印象的だった。人の評価って、本当に当てにならない。そういう「他人に対して思いも寄らぬ評価をしている人が実際に周りにいる」のだと再認識した。こういう他人に対する評価はたんなる思い込みで、評価された人の実際の能力とはなんの関係もない。おそろしいことに、思い込みは、他人からどう言われても変えさせることはできない。実社会で戦うためには能力があれば何とかなるけど、サラリーマンだと「周りにどう評価されるか」の方が重要なのだ。そんなことはわかって働いているのだが、一度そこから出た人間が、またその中に入って関わるとなると、すごく異質な感覚を覚える。
●「おれらみたいのが一番悲惨なんだよ。いい目を見るのは最初にいたやつらと高額で買収されたやつら。おれらは使い捨てなんだよ」 そう言って君は辞めた!さて、私はどうする?
●ミス・マープルのシリーズで描かれるのは貴族の一家だったり、村社会だったり、ホテルだったり、閉塞的な社会だ。イギリスそのものが閉塞的だ。サラリーマン社会に通じるものを感じる。どちらの世界でも利害関係や私怨で殺人事件は常に起こっている。やっかいなことに、サラリーマン社会では犯人が最後まで捕まえられない迷宮事件で終わることが多い。
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